裵 貞順(べ・ジョンスン)
「Breath of Condensation」
会 期 2013年11月16日(土)~11月30日(土)
閉廊日:毎週日・月曜 開廊時間:12:00~19:00
オープニング・パーティー 11月16日(土)18:00より
このたびYOD Galleryでは、和紙・針金・スワロフスキーを用い、女性の進化する身体を表現する造形作家、裵 貞順(べ・ジョンスン,b.1961)の新作展を開催いたします。
べは女性の存在を追求することをテーマに、1987年から一貫して和紙と針金を使った造形を制作し、インスタレーション作品を発表してきました。当時、ポストモダニズム全盛期に影響を受けながら京都市立芸術大学大学院で学び、韓国ではまだ珍しかったインスタレーションで表現する手法いち早く取り入れ、ソウルの主要なギャラリーやコマーシャルスペースで大きな作品を展示し注目を浴びることとなります。
べが使う和紙は、韓国と日本に共通するアイデンティティであり、自然素材が持つ透明感と時間が経つにつれ色が変わっていく性質が、生まれてから年老いていく間に変化していく人間との同一性として用いられている。また、平面である和紙がワイヤーにより立体化し表現されることは「自立」を表しており、かたちだけでなく内面も成長し「自立」を求める女性としてのフェミニズムを垣間見ることができる。そういった概念が構成される作品に対して、べは「進化する身体の神話を話したい」という事が永遠のテーマだと言う。
息、呼吸、生命
呼吸する身体
変容する身体
拡張する身体
進化する身体
神話する身体
コルセットのようなボディを強調するかたちは、呼吸し変容する身体で女性の「存在」を表している。年齢とともにかたちだけでなく精神の変化を表わすことにより、女性の持つ繊細さと内面に秘めたる強さも表現する。そして光と陰の織りなすインスタレーションにより、それが神格化されたり、人々を惑わす妖艶さを感じさす世界へと鑑賞者を引きこむ。
べは鑑賞者に対し、ただ美しいものとして見ることにより、癒されて欲しいと望んでいる。しかし、そこには外国人や女性として生活する人生におけるたくさんの「苦しい」気持ちを消化し、「美しい」ものへと表現する大きな力を感じる。かたちや見せ方にこだわり強調されたり、複雑化された20・30代の初期作品よりも、年齢を重ねるにつれ美しいものを召喚する精神的な深みが更に増すことにより、作品の不必要な部分は切り落とされ、よりシンプルに表現されたべの作品は「進化」を続けている。