服部正志
「□=△=○」
会 期:2014年12月6日(土)~12月26日(金)
閉廊日:日曜・月曜日、開廊時間:12:00~19:00
このたびYOD Galleryでは、服部正志(Masashi Hattori, b.1977)の個展「□=△=○」を開催いたします。今展では、今年3月に撮影された服部のパフォーマンスを映像作品として発表いたします。その中で使用されている媒体は、服部が一年間貯めた新聞紙から制作されたもので、昨年のYOD Galleryにおける個展「今◯私◯昔◯私」では写真作品として発表されました。服部の個展では継続性が非常に重要な要素であり、物質としての形状は違っていても、前回の展示と繋がる要素が必ず作品や展示のコンセプトの中に存在します。
今展覧会名におけるシンボルマークの「=(イコール)」は、その繋がりを象徴するサインと言えます。形状は変わっても変わらない要素、たとえば、今展で展示されている新聞紙の塊は、以前は一枚一枚積み重ねられていて(□)、それから人型に抜いて山のように積まれ(△)、それがのりでボール状にまとめられ(○)現在の形として記号化されています。作品は、時間の経過とともに形状は変化していますが、それが新聞である事実やそこに書かれている情報はどのような形になってもその一年のままです。服部はこのように形の変化に目を奪われて忘れがちな事柄を指し示しめすサインとして「=(イコール)」を用いています。人がとらわれがちな見た目の変化、すなわち時の流れとともに変化していくものよりも、その中に変わらない事柄が存在し続けているという、普遍的な何かを作品を通し訴えようとしています。
映像作品は、その「□=△=○」の変化の過程を映像化したもので、一年分の新聞の形状が変わる様子を365秒に集約することで見る人に一日を一秒に置き換え、一年という単位をもう一度客観的に考えてもらいたいという意図があります。また、服部の展示は体験型とも言え、展示物が置かれている空間に人が立つことで作品の一部になるような仕組みも用意されています。外壁に描かれている大きな「=(イコール)」のサインは、両端に人が立って写真を撮ったりすることで、新たな作品が生み出され、また、ギャラリー内の本棚は本を手に取ることで棚に横長のスペースが開き、「=(イコール)」の横線が一冊づつ抜ける度に浮かび上がってきます。このように、見る人を取り込み展示スペースの中で生み出された新たな作品は、服部が見る人の記憶に残る体験を提供し、その記憶が人々をつなぐ「=(イコール)」に値するものを作り出していると言えるでしょう。そして、こういった記憶の共有が、服部の信じる普遍的なものの存在に人々が気づくきっかけになるのではないかと考えています。ぜひこの機会に作品に触れながら、服部の創る世界観を体験していただければと思います。