細江 英公
「薔薇刑」
会 期 2014年5月31日(土)~6月28日(土)
閉廊日:日曜・月曜日、開廊時間:12:00~19:00
レセプションパーティー 6月 7日(土)17:30~19:30
ギャラリートーク(予約制) 6月 7日(土)15:00~17:00 YOD Galleryにて
細江 英公氏、馬場 伸彦氏(甲南女子大学 メディア表現学科 教授)
※席数が限られておりますので、下記連絡先までお早めにご連絡下さい。
このたびYOD Galleryでは、細江英公(Eikoh Hosoe, b.1933)氏の個展を開催いたします。
細江氏は山形県米沢市に生れ、東京で育ち、17歳の時に富士フィルム主催の「富士フォトコンテスト学生の部」で最高賞を受賞し、写真家を志します。1952年、東京写真短期大学(現東京工芸大学)入学後は、デモクラート美術家協会を主催する瑛九と交流を深めるなど、既成概念に挑む作家の精神を受け継ぎ、卒業後はフリーの写真家として活動しました。戦後から始まったリアリズム写真運動全盛の時代の中、日本経済の高度成長とともに新たな写真表現が求められる中で、細江氏は59年には川田喜久治、佐藤明、丹野章、東松照明、奈良原一高らとともに写真家のセルフ・エージェンシー“VIVO”を立ち上げ、より私的で芸術的な表現活動を展開します。
1960年には、舞踏家・土方巽をモデルにした「おとこと女」を発表し、日本写真批評家協会新人賞を受賞します。また、63年には、三島由紀夫の裸体を被写体として、多くのマゾヒスティックな構図の写真で、前代未聞の奇書として国内外に大きな反響を呼んだ「薔薇刑」で、日本写真批評家協会作家賞を受賞します。その後、秋田の農村を舞台に土方をモデルに撮影した「鎌鼬」など、数々の名作を残し時代を切り開いてきました。また作家活動のかたわら、母校の東京工芸大学で教鞭をとり、海外でワークショップを開催するなど写真文化の普及・発展にも寄与し、70年芸術選奨文部大臣賞受賞、98年紫綬褒章受章、07年旭日小綬章受章、10年文化功労者に選出など、数々の賞を受賞し日本の写真界を牽引しました。
当展では、細江氏の数々の作品の中でも代表作といえる「薔薇刑」に焦点を絞ります。撮影は1961年9月から62年春まで、約半年間にわたり10回近く行われました。撮影場所は東京都目黒区の土方巽の稽古場や、江東区亀戸の廃工場跡、港区青山教会跡地の建築工事現場、そして大田区南馬込の三島邸などで、協力モデルは土方と女優の江波杏子が参加しました。自邸での撮影に際し、三島は「家族の教育上よくない」との理由により、瑤子夫人と長女の紀子(当時2歳)を、文京区目白台にある夫人の実家に里帰りさせていたというエピソードもあります。63年3月25日に、集英社より杉浦康平の装幀で写真集「薔薇刑」が刊行され、三島事件の翌年71年に、三島の新たな序文を入れ、横尾忠則の装幀による「薔薇刑新輯版」が刊行され、84年にも粟津潔装幀による「薔薇刑・新版」が刊行されました。後に、写真集専門家アンドリュー・ロス氏がセレクションした「20世紀101冊の名作」にも選ばれます。そのような伝説のコラボ作品である「薔薇刑」の展覧会が半世紀過ぎた今回再現され、大阪では初公開となります。当展には、貴重なビンテージプリント及び写真集作品のモダンプリントが出品、更には写真集掲載作品以外も展示されます。また、会期中イベントとして細江氏と馬場伸彦氏(甲南女子大学 メディア表現学科教授)のトークイベントを開催いたします。「薔薇刑」についてのエピソードや当時のお話しを、ここ大阪で細江氏から直接お聞きできる貴重な機会となっております。是非この機会にご高覧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。