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  木村 光佑

「イメージのコラージュ」

会    期:2012年1月14日(土)~2月4日(土)
 

閉廊日:毎週日・月曜  開廊時間:12:00~19:00

木村光佑展 ギャラリートーク
1月27日(金)18:30~20:00 YOD Galleryにて
ゲスト:安來正博氏(国立国際美術館 主任研究員)

 

このたびYOD Galleryでは、木村光佑(Kosuke Kimura, b.1936)氏の個展を開催いたします。
 

日本経済の高度成長と同時に美術の大衆化が顕著となる中、木村氏は30歳を越えた1968年に作家としてデビューを果たしました。シルクスクリーンや写真製版をはじめ多様な製版・印刷の最新技術を駆使し、現在社会の虚像と実像入り交じる様々なイメージを重ね合わせることで、情報過剰な同時代人の視覚的経験を作品化してみせた木村氏は、デビューと同時に「時代の申し子」として立て続けに国際コンクールでの受賞を重ねていきます。一方で木村氏の自由な版表現への挑戦は、当時の日本版画界においては異色であり、版画の範疇や概念に対する議論を巻き起こしました。

木村氏は1955年京都市立美術大学(現:京都市立芸術大学)にて日本画科へ入学、卒業後は広告代理店にてグラフィックデザイン制作に携わった後、デザイン会社を設立しデザイナーとして活躍しながら作家に転向いたしました。この異色の経歴が規定概念に捕われない木村氏の自由な版表現の根源となっております。日本画におけるモノの捉え方、彩色法、様式美はイメージを重ね合わせる独特の作品作りにつながっており、画面の秩序化への関心やレイアウト的な構図への志向性は広告を通じて培われたものであります。印刷に長く携わってきた木村氏は、版画をジャンルとしてではなく一つのメディアであると突き放し、また日本的な版画観に囚われない思考によってアクリルやステンレス・ガラス・琺瑯などの異素材や立体物へも果敢に挑戦し続けてきました。規定概念に捕われず、制作しつづける情熱と版画をメディアの一種として突き放す冷静さが、木村氏の最大の魅力といえるのではないでしょうか。

1987年、ノーベル化学賞を受賞した福井謙一氏からの要請にて、京都工芸繊維大学工芸学部教授に就任しました。大学教授として若い才能を育てる傍ら、「科学と芸術」の融合について探求しつづけ、1998年には第9代学長に就任します。科学に芸術の持つ感性や感覚を取り入れる事によって、未来の科学者たちに多角的な視点を問いつづけました。木村氏は作品においても日常的な現実を反映させ続け、作家でありながら常に社会と関わり続けることにより、1999年には紫綬褒章を受章する等の社会的な貢献もしてきました。今もなお「情熱と冷静」「科学と芸術」「作家と社会」など対局にあるモノのバランスを保ちながら、常に自分の位置を確かめ続けているのでしょう。

当展では、初期のアッサンブラージュ作品「OUT OF TIME」から新作の「イメージのコラージュ」まで、木村氏の過去から現在の作品を同時ご紹介いたします。時代を超えた新しさ、70歳を超えてなお制作し続ける力は閉塞感漂う現代へのメッセージとなりうるのではないでしょうか。また会期中イベントとして木村氏と安來正博氏(国立国際美術館 主任研究員)のトークイベント開催いたします。是非この機会にご高覧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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