村田彩/新宮さやか
「生命の形象-Shape of Life-」
会 期:2012年10月27日(土)~11月17日(土)
閉廊日:毎週日・月曜 開廊時間:12:00~19:00
オープニングパーティー:10月27日(土)18:00~
このたびYOD Galleryでは、陶芸立体作家である村田彩(Aya Murata, b.1979)と新宮さやか(Sayaka Shingu, b.1979)による二人展「生命の形象」を開催いたします。
村田と新宮はともに、京都・大阪と同年の関西出身で、女性的感覚を持った装飾的かつ細密で、抽象的な陶による大胆な表現を展開している作家です。二人はかつてアトリエを共有し互いを意識しながら技術と表現を切磋琢磨した仲で、互いの共通点と全く違った技法による陶の造形の追求の中で、彼女たちの心の内にある人間の本質における思考と個性をそれぞれの作品に表しています。
二人の共通点は、「生命」をかたちに表すことにより、その結果、花や植物、珊瑚のような有機的なかたちが現れる点です。陶の表現は、まず焼成などの制約から始まり、素材と技術が先立って作品が出来上がってくるのが基本です。そのため、自分が表現したいものの手段としてミディアムを先に選ぶのではなく、むしろ彼女たちが陶を触るうちに結果的に産み出したものが、最初は花のようなかたちをした作品であったと言えます。
村田が色鮮やかな練り込みの技術を用いた土を、変幻自在に触手のような有機的なかたちで表現するのに対し、新宮はモノトーンの花弁と針のように細い花蕊のようなものをたくさん植え込み作品を制作します。一見華やかなその作品たちは、村田がその美しい模様と色を用いることにより毒々しさを表すのに対し、新宮はモノトーンという色と今にも折れそうなかたちで、朽ちて枯れていく時間の中に存在する感覚を捉えています。
村田が言う毒とは、人間の「欲」・「嫉妬心」・「羨望心」・「向上心」のことです。彼女は、その毒が人間の魅力であり、それが糧となって生命が成長すると位置付け、海の生命体のようなかたちでその感覚を表現します。一方、新宮には朽ちていく時間の中にある、決してきれいではないグロテスクなものを、自ら培ってきた技術によりきれいなものに見せたいという思いがあります。また、モノトーンは彼女にとって、余分な情報を排除し自己投影するためのものでもあります。二人それぞれが考える「生命」に対する感覚をかたちで表現する中で言えることは、村田が時間の流れを「成長」と捉え、上へ上へと向かっていく生命力をかたちにするのに対し、新宮が時間の流れを下に落ちていく感覚と捉え、「朽ちていく」生命への感覚を具象化しているということであり、各々の表現は鑑賞者の中にある感覚を喚起させます。
今回の展覧会では「生命の形象」と題し、二人が捉えた各々の生命に対する感覚を造形した大小の新作を空間全体で表現いたします。今回の企画に至り、二人が制作の中で意識する概念が比較されることにより明確化され、更なる技術を持って一層異化し抽象化されたような、あるいは擬人化されたような、生命観を纏う新しい作品が発表されます。ぜひ、この機会にご高覧賜りますよう、よろしくお願いいたします。