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原康浩

『Sho-“壽”』

2021年10月2日(土) – 10月23日(土)

開廊時間:13:00 - 19:00、休館日:日曜日

このたび YOD Galleryでは、原康浩『「Sho-“壽”』を開催いたします。

 

 原は、インパストと呼ばれる絵の具を厚塗りする技法を用いて、本来は平面的である絵画に三次元の現実感を付与し、鑑賞者に半立体的な絵の具の存在感を提示する。大量のアクリル絵の具とメディウムを使用し、大きく盛り上げられたストロークがキャンバスいっぱいに拡がる作品は、支持体の上で大きく動く作家の姿を連想させるが、実際はごく僅かな動きで作られている。大量の絵の具を用いた作品は、作家の意図通りには描くことができないという偶発性と、重力を伴った必然性を孕み、作家自身の身体と支持体、画材の物質性との関係によって現前するものとして表現される。

 

 

作家ステートメント - SHO-“壽” について

 

「壽」という文字と”書” をテーマにした作品を制作している。「壽」という言葉を目にして日本人が一番すぐにイメージするのは、結婚式や長寿祝い、めでたい席によく用いられる言葉だ。

 

禅の教えを広めるために禅画と墨蹟を用いておよそ一万点以上の作品を残したと言われる禅僧 白隠慧鶴がよく用いた文字であり、具体美術協会の吉原治良が晩年辿り着いた「円相」というモチーフも禅画のそれである。

 

戦後の墨美という前衛書グループの書家たちは現代美術懇談会を通じて絵画や美術の作家に大きな影響を与えた。吉原はその交流の中から西宮海清寺の住職を務めた中原南天棒という禅僧の書を見て大変感銘を受けたという。吉原はその時に感銘を受けた禅画などから円相という文字を着想したのだろうと推測される。

 

最初に書いた通り「壽」という文字は日本では結婚や正月などの祝いの席や長生きを祝う意味を持つ。文字の下に「寸」という文字が入っているのはその為だ。命の長さを年月という物差しで測るということだ。しかし、寿命100年時代と言われる昨今、果たしてただ長く生きることが本当に幸せだろうか?と若者たちは首を傾げ、日本は先進国の中でも若者の自殺率が極めて高い。日本のみならず改めて生きるということを考える時期にきたのかもしれないと思い制作を続けている。

 

平面上に半紙と墨を用いて「奥行きがある」と表現される書に対して工業技術の発達により物理的に反立体のマチエールが可能となり、迫り来るような物質量を定着することが可能になった過剰な質量を持った平面作品を制作し、スーパーフラットやシルクスクリーン的表現が持て囃される時代にフィジカルな「重さ」をここに表現し、更にその先にある「言葉」と対峙し表現し続ける。

 

 

 

是非この機会に、ご高覧ください。

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